伊予鉄道松山市内線
坊っちゃん列車


松山市駅前電停の渡り線にて、これから方転せんとする14号機。最新型電車・リトルダンサーとの対比もいとをかし。

    

伊予鉄道の草創期に活躍したクラウス製の軽便蒸機や2軸の小さな客車は、夏目漱石の小説『坊っちゃん』の中で“マッチ函のような汽車”と描写されたことを由来に、広く一般に『坊っちゃん列車』として親しまれるようになって久しい。
実物の1号機は松山郊外の遊園地・梅津寺パークに保存されているのだが、その『坊っちゃん列車』を“復活”させて観光の目玉にしよう―ということで、伊予鉄道みずからがクラウスと客車のレプリカを作らせ、去る2001年10月より路面電車が走り回る市内線にて定期運行を実現するに到った。
レプリカの機関車はディーゼル動力とはいえ、外見はまぎれもない軽便サイズの汽車。こんなものが市内電車の合間を縫って街中を堂々闊歩し、起終点で繰り広げられる転回&機回しはほとんどエンタテイメントの域に達している。
興味のある方にはとにかく松山へ飛んでいって現物を体験してもらうのが一番だが、とりあえずここでは訪問当日のスナップをざっとお目にかけよう。(写真いずれも2003.12.30)
  

“坊っちゃん列車”の車輛の布陣は
こちらをどうぞ

神出鬼没なこいつら


▲松山に来て最初に『坊ちゃん列車』を見たのは、ホテルを出て市内線に揺られつつ松山の中心街・
大街道を通りがかったときのこと。こういうのが走っていると知ってはいても一瞬ビビリます。


▲お次は市内線を一回りして大手町で下車、平面交叉する高浜線に
乗ろうと改札をくぐった直後のひとこま。しかしシュールな情景だ…


元京王車にひと駅だけ揺られて古町で降りて、車庫に居並ぶ電車どもを撮っていたら
背後からエンジン音が…また来よった(^^;)。冷静に考えると、さっき大手町で見たのと同じ列車だった。
 


あわただしく方転したのち市電の車庫で一休み。この角度だとサブロクがじつに広く見えること。


サテ、乗ってみましょうか
 


高浜線をひとめぐりしてから、いよいよ坊っちゃん列車に乗るべく松山市駅までやってきた。しかし電停はまだ平和である。


と思いきや、汽笛とエンジン音も高らかに“奴”が現れました。
お客さんを降ろしたのち、カマだけ切り離して渡り線へ移動、方転ショーの開幕!


動画(YouTubeへ)
 


カマの転向がひと段落したあとは、クルー3人がかりで
客車をヨッコラショと押しながら転線。こりゃあ重労働だなあ…


 


客車をカマに繋いで(これがまたひと仕事なのだが後述)、乗り場までバック。
お客さんけっこう並んでますねえ。


車内は本格的な板張り!しかしお上の認可が出てるってことは
ガッチリ難燃処理もされているのでありましょう。


この写真を撮ったあと、車内はスシ詰め状態に…途中は写真を撮るどころではなく。
ちなみにイスも単なる板張り。しかも2軸の板バネですんで、少々尻が痛くなりました(^^;)
 


なんやかんやで終点・道後温泉に到着です。
 


動画(YouTubeへ)
 


ここでもあわただしく駅の外れの留置線に移動して方転タイム。
 


ジャッキアップして転回中のところをアップで。しかしよくこんなこと考えたもんだ、と。
 

もうひとつ感涙を禁じえないのは連結器。エアホースもジャンパ栓もあるのにバッファー&リンクですよあーた。
入換えのたびごとにこの面倒な作業をこなしているのはすごい。しかも結構手練の早業。
明治村で同じようなことはやっているとはいえ、マニアの私でも“自連にしたってええやん”と思ったほどです(^^;)
はたして外観にこだわった末の英断なのか、それとも昭和40年代まで森松線あたりで
同じもん使ってたからあまり気にしていないだけなのか、知りたいところではありますね。


駅前で見世物になる

道後温泉では、方転を終えると列車は駅前に設えられた引込線に顔を出します。
そう、駅前広場でしばしの間晒し者になるのです。そしてその辺にはコスプレ(!)した観光協会のおにいさんおねえさんが
ウロウロしていて、頼めば(いや頼まなくても)記念写真を撮ってくれます。たのしいねえ。

 
 

晒し者になっているだけではありません。スキを見て?燃料補給も…
どうせなら古式ゆかしいガソ計でも置いてほしいと思うのは私だけでしょうか(^^;)



 

さて、駅前でひとしきり興行?を終えたら、松山市方面へ出発です。
電車がひっきりなしに出入りする間隙を縫ってあわただしく客さばき。


 


そしてエンジン音も軽やかに、ゴロゴロと去ってゆきます―
 

いやはや、今回は本線(路上)を走っているところはマトモに写真を撮れなかったのですが、
それでもすっかり満腹な一日でした。またじっくり訪ねたい!と切に思うところです。


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