富山県は常願寺川の支流・小口川の上流域に、この軌道は存在する。
軌間762mm、現在の軌道延長約1.5km。用途は、軌道終点にある北陸電力小口川第三発電所のメンテナンスに関連する資材輸送、とでもいうべきもの。“資材輸送”と書くと何やら大げさだが、山麓から発電所までに到る陸路のうち、諸事情により道路化のままならぬ最末端区間を、たまたま軌道という形態によっているのが実情である。
軌道そのものは、明治時代に開業した手押し軌道に端を発する複雑な歴史を有するが、詳細は別の機会にゆずることとしたい。
趣味的には、少なくとも四半世紀前より一貫して、自動車改造による風変わりな内燃機関車を動力車として用いていることが特筆される。また、深い渓谷沿いの原生林の斜面を、等高線を忠実になぞって走る森林鉄道風のシーナリィも、いまや得がたい魅力である。
●軌道の名称について
この軌道が、はじめて趣味人の前に公にされたのは、当頁冒頭で触れたとおり、『レールガイ別冊・知られざるナローたち』(青鈴書房・1981年)という書物のうえであるが、同書ではこの軌道を『水口建設資材運搬線』として紹介しており、以降これに興味を持つファンの間ではたいてい“水口建設”“水口”と呼び習わされている。
しかしながら、この軌道を“水口建設の軌道”と呼ぶのは厳密には正しくない。
軌道敷地が国有林、軌道施設の所有が北陸電力(株)、そして車輛の所有及び運行を受け持つのが水口建設産業(株)というのが実際の管轄形態である。
その点を鑑みて、当サイト上では、『小口川軌道』『水口』の呼称を適宜使い分けることとさせていただく。 |